ムーレイ・ジップ級コルベット(英語: Muray Jip-class corvette)は、アラブ首長国連邦海軍のコルベットの艦級。
来歴
アブダビ首長国防衛軍海上部隊(Sea wing, Abu Dhabi Defence Force)は1968年3月に発足したが、当初の保有船艇は20メートル級程度の港内艇に限られた。その後、外洋航行能力を備えた艇として、ヴォスパー・ソーニクロフト社の110フィート (34 m)級哨戒艇が購入されることになり、1975年よりアルダナ級として就役した。
1971年のアラブ首長国連邦の成立を受けて、1978年2月にはアラブ首長国連邦海軍が発足し、その後十数年のあいだに、戦力は急激に拡充されていった。まず1977年、西ドイツのリュールセン社に対し、バニヤス級ミサイル艇(TNC-45型)6隻が発注され、1980年から1981年にかけて就役した。そして1986年には、バニヤス級を発展させたミサイル艇2隻とともに、ヘリコプター運用能力を備えたコルベット2隻が発注された。これが本級である。
設計
本級は、リュールセン社によって開発されたFPB-65型と呼ばれる設計を採用しており、ペルシャ湾内での行動に最適化することで、重兵装と航空運用能力の両立を図っている。これは同社がバーレーン海軍向けに先行して建造していたFPB-62型(アル・マナマ級)の船体を延長したもので、同型と同じく船体後部にヘリコプター運用設備を設けており、外見上の大きな特徴となっている。これは、中型ヘリコプター1機を収容できる格納庫を設置して、その天井をヘリコプター甲板としたものであり、降着したヘリコプターはそのままエレベーターによってハンガー内に格納される。
主センサーとなるのはCバンドのシージラフ50HCである。なお航海レーダーとしては、当初はデッカ1226を備えていたが、2005年にタレス社のスカウトに換装した。
主兵装となるエグゾセMM40ブロックIII艦対艦ミサイルは、4連装発射筒2基に収容して、艦橋構造物とハンガーとの間に設置されている。主砲としては船首甲板に76mm単装速射砲を搭載しており、サーブ9LV223射撃指揮装置(FCS)およびナジール光学方位盤による管制を受けている。また本級では、艦橋構造物の後端部にゴールキーパー 30mmCIWSを、また船尾甲板にはクロタル個艦防空ミサイルの8連装発射機を備えている。
同型艦一覧
1987年に2隻が発注され、いずれも西ドイツのリュールセン社で建造された。1991年10月に就役し、乗員の訓練完了後に本国に回航された。3隻目の建造も検討されたが、これは実現しなかった。
脚注
注釈
出典
参考文献
- Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325
- Saunders, Stephen (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. ISBN 978-0710628886
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545
- 海人社(編)「写真で見るミサイル艇発達史 「コマール」型から「はやぶさ」型まで」『世界の艦船』第597号、海人社、2002年6月、31-41頁、NAID 40002156355。
関連項目
- アリヤ級ミサイル艇 - イスラエル海軍の同級艦



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